ドコモスカイ、ドローンを活用したビジネスを支援

ドコモスカイ

株式会社NTTドコモはドローンを用いたサービスを提供する企業向けにドローン運用をトータルにサポートする「ドローンプラットフォーム docomo sky(ドコモ スカイ)」を開発したことを2018年2月21日に発表しました。

docomo sky(ドコモ スカイ)

今回発表された「docomo sky(ドコモスカイ)」のシステムには次の4つの要素があります。

  1. クラウドコネクト
    docomo sky対応通信デバイスによりドローンとセルラーネットワークを常時接続し、クラウド上でドローン遠隔制御、カメラ制御を可能とし、リアルタイムデータ通信も実現します。
  2. 運行支援基盤
    予め設計した飛行ルートをドローンに設定することで、遠隔地から複数のドローンを自動運航させることが可能。また、飛行中のドローンや飛行空域に関する様々な情報を一元管理し、複数のドローンを安全に運航させることも可能。

    1. 運航計画(FOS:Flight Operation System)
      飛行するエリアの地形や気象、飛行禁止区域などの地理的情報を基にドローンの飛行計画を作成、高度、座標情報等の詳細な飛行ルート(Waypoint)を設定し遠隔地から複数ドローン自動運航が可能
    2. 運航管理(UTM:UAS※無人航空機システム
      一定の空域内に飛行している複数のドローンの位置情報を一元管理する機能で、空中衝突の危険や、禁止空域への侵入を検知し通知することで空域の安全確保が可能
    3. 機体情報管理
      使用するドローン機体、カメラ、回線情報、利用実績等を管理することが可能

      • ドローンの機体名称や形状
      • 搭載するカメラ等のセンサーデバイス等
      • 使用するセルラーネットワーク情報(通信状況、パケット使用量等)
      • 飛行時間、操縦パイロット等の利用実績
    4. 業務ワークフロー管理
      業務を行う利用者が予め定めたフライト方法、機体情報、パイロット、スケジュール、フライトエリア等の実施項目を利用者間で共有し進捗確認、運航計画や各種ドキュメントの共有が可能
  3. ビジネス支援基盤
    撮影した画像データなど、ドローン飛行時に取得したデータを保存・管理しビジネスに活用することが可能。

    1. リアルタイムなデータ保存・管理
      飛行毎に撮影した画像データやフライトログを保存し、WEB上での管理を可能とする
    2. アナリティクス
      取得した画像データ等を分析しレポート自動作成が可能
  4. 解析支援基盤

    パートナーとの連携による高度な解析アプリケーションの開発を目的としており、様々な画像データを蓄積し、識別や分類を行い、またその結果から今後の比較の軸になるデータを作成したり、様々なパターンに対処するなどを行う。

上記4つの要素により、ドローンとプラットフォームをセルラーネットワークで常時接続することで、複数台の自動飛行、目視外での遠隔操作、機体情報管理、機体を用いた業務のワークフロー管理、撮影画像データ等のセンシングデータをリアルタイムに取得し管理を行うまでの一連の運用をWEB上で管理可能となります。

利用イメージ

ドコモスカイを活用することにより、以下のようにフライト前のフライト計画書の作成から、フライト後のデータ分析まで一元した管理が可能になります。

ドコモスカイ利用イメージ

ドコモスカイの注目ポイント

今回ドコモスカイの発表されたことで、以下のような今後一層注目すべきポイントがでてきました。

  1. セルラードローンの可能性
    セルラードローンとは、携帯電話の通信回線を利用して飛行するドローンのこと。携帯電話の通信回線を使うことで、ドローンとリアルタイムでデータのやり取りができるようになり、飛んでいる位置の補正など、さまざまな精度の向上が期待できます。また、通信が届く範囲であればどこでも飛べるため、遠距離の飛行も可能などメリットがたくさんあります。
    NTTドコモはすでにこれまでに培った通信技術とドローンとの親和性を考え、2016年9月からいくつかの実証実験を開始していました。その一つの形が今回の「ドコモスカイ」で、今後ドローンの飛行データの取得・分析・修正の精度がどんどん高まっていきます。
  2. 規制緩和に向けた動き
    知名度のあるNTTドコモが実績をつむこともとても重要なポイントです。
    NTTドコモは自社で通信の基地局を保有しているため、その基地局の点検にドローンを活用する動きもありました。さらに、今回の発表で協力パートナーが増えれば、実用化に向けて事例が増え、安全性への担保につながります。
    ドローンを取り巻く業界の信頼性の構築、規制緩和への一助となるのではないでしょうか。

今後の動き

最初の取り組みとして、ドコモスカイを活用した「太陽光発電事業者向けソーラーパネル自動点検・解析サービス」を、2018年3月より南国殖産株式会社を通じて、グループ企業である九州おひさま発電株式会社の日置発電所(鹿児島県)にトライアル提供することが発表されました。

今後は、ドコモスカイについて、様々な産業分野への活用をめざし、パートナー各社とのビジネス実証、ならびに技術開発に取り組んでいく方針です。また、この様な取り組みを加速させるため、2018年4月に「セルラードローン・オープンパートナーイニシアティブ」を発足し、エントリーを開始する予定でいます。

NTTドコモと連携してドローンを活用する企業が増えると、産業用ドローンのプラットフォームとしての価値が高まります。2020年に予定している5Gの商用化に向け、どんな社会インフラを整備していくのか期待が高まります。

これまでのドコモのドローン業界での動き

これまでNTTドコモは、ドローンの実用化に向けてさまざまな取り組みをしてきました。次々に大手企業が参入してきているドローン業界の中で、最も活発に実現性の高そうな動きを見せているのがドコモです。docomo sky(ドコモスカイ)が発表されたこのタイミングで、これまでの同社の動きを振り返ってみます。

  • 「水稲プロジェクト」と「海岸保安林プロジェクト」
    16年9月、新潟市、ベジタリア、自律制御システム研究所(ACSL)、エアロセンスと連携し、ドローンを使って上空から撮影を行い、得られた画像をドコモのディープラーニング技術により分析し、高精度な収穫予想を実現していく「水稲プロジェクト」。海岸保安林を上空からドローンを使い空撮し、その画像を「水稲プロジェクト」同様分析。分析結果とGPSから得られた位置情報を元に、よりピンポイントで被害木を特定する「海岸保安林プロジェクト」を発表。
  • ドローンを使い離島に配送
    16年11月、MIKAWAYA21、エンルートと協力し、2.5km離れた離島に物を届ける実験をし成功。操縦にモバイルネットワーク通信を利用することで、目視外の遠距離でも制御可能なドローンを使った。
  • 楽天本社から遠隔制御で千葉市にあるドローンを飛行
    16年11月、楽天、自律制御システム研究所(ACSL)と協力し、スマートフォンアプリで商品を注文した客に、楽天の配送用ドローン「天空」を使い、自律飛行で商品を届けるデモンストレーションを行った。ドコモが提供したLTE回線を使うことで、理論上LTE回線が飛んでいるところであれば、遠隔制御が可能だということが証明された。
  • 「浮遊球体ドローンディスプレイ」
    17年4月、環状のフレームにLEDを並べたLEDフレームの内部にドローンを備え、LEDフレームを高速に回転させながら飛行する「浮遊球体ドローンディスプレイ」を開発。回転するLEDの光の残像でできた球体ディスプレイを、内部のドローンで任意の場所に動かして見せることが可能。
  • ドローン中継局
    17年5月、既存の臨時基地局に比べ、ドローンの場合は現地まで運びやすく機動性にも優れているため、小型の基地局を搭載したドローンを使い、災害時に一時的に災害現場の通信環境の復旧を進める動きを進めている。
  • 物流用ドローンポートシステム
    17年11月、ブルーイノベーション株式会社、東京大学、日本郵便株式会社、株式会社自律制御システム研究所と共に、長野県伊那市にて、物流用ドローンポートシステムを活用した物流事業者による荷物等の輸送における総合検証実験を実施。
  • プレナブ社への出資
    17年11月、インフラ点検用のドローンを開発するシリコンバレーの企業、PRENAV, INC.への出資を実施。プレナブ社が提供しているドローンソリューションは、専用レーザー装置によるインフラ設備などの建造物の3Dモデル生成、建造物を撮影するための飛行計画作成、自動飛行ドローンによる建造物の撮影、そして撮影画像に基づくレポート作成という一連の点検作業を自動化することができる。
  • LTE通信によるリアルタイム映像伝送
    18年3月エアロセンス株式会社とVTOL(ブイトール)ドローンを使ったLTE通信によるリアルタイムでの映像伝送に成功。ドローンの長距離移動やカメラによる状況確認の即時性など、インフラとしての活用が示された。

 

画像・情報元: 株式会社NTTドコモ

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