AI(人工知能)の技術開発・ソリューション提供を手掛ける株式会社アラヤでは、ドローンに搭載されたカメラからの画像情報をもとに、ドローンが自律的に飛行する技術を開発しています。この技術を活用して、点検や在庫管理など、従来人が行っていた作業の大幅な効率化を目指します。
また、このためのプロトタイプとして、床の線に沿って自律飛行するドローンを開発しました。
床の線を追従するドローン
アラヤが開発したプロトタイプのドローンは、人間の操作無しに、AIが組み込まれたiOSアプリにより自律飛行します。具体的には、ドローンは、前方を向いたカメラ画像のみから、自分で判断して床の上に引かれたピンク色の線を追従するように飛行します。急なカーブがあっても、線が少々途切れていても、滑らかに追従できます。また、特定のマーカーを検出すると、高所から周囲を撮影する等、予め指定したタスクを実行させることができます。
(動画内の画面左下に、ドローン前方のカメラからの映像がを表示されしています。)
自律飛行を実現する技術
このプロトタイプのドローンの制御には、深層学習技術が応用され、カメラ画像をもとに機体の移動方向を自律的に判断させます。具体的には、画像データを入力として、ドローンの制御コマンド(左旋回・前進・右旋回)を出力する深層ニューラルネットワークを、教師あり学習や強化学習などを用いて学習させています。
自律飛行ドローンのメリット
アラヤが開発を進めている自律的に飛行するドローンは、カメラの画像情報のみを利用するため、GPSが使用できない環境でも飛行できます。また、人や車が往来するなど、動的に変化する環境においても経路を自律的に判断して飛行します。
活用例
倉庫内の棚卸
ドローンが、全ての商品をなぞるように自律的に飛行しながら、在庫に貼られたバーコードやQRコードをスキャンし、在庫管理システムに在庫を登録します。
省力化、棚卸精度の向上、操業停止期間の短縮などが期待できます。
工場内の配管検査
工場内で、高所や広範囲に張り巡らされた配管を、ドローンが追いながら損傷や異常がないか検査します。
省力化、安全性の向上、検査精度の向上などが期待できます。
今後に向けて
今後は、線やマーカーなどの明示的な印がない場合でも、屋内にある様々な手がかりをもとに自律飛行を実現できるよう、技術開発に取り組んでいきます。