通信建設大手の株式会社ミライト・ワン(本社:東京都江東区)は、グループ会社の西武建設株式会社(本社:埼玉県所沢市)と連携し、西武建設が施工中の荒川第二調節池下大久保上流工区囲繞堤工事(国土交通省 関東地方整備局 荒川調節池工事事務所)において、BIM/CIM(※1)を活用し、遠隔監視ドローンSkydio Dock for X2と3D点群データの自動作成により土量管理の省人化・スピード化を実現しました。この取り組みは、実証実験や点検では実績があるものの、BIM/CIMデータを活用する実現場での適用は国内初となります。
工事現場における課題
工事現場における土量管理は人手や時間がかかることが課題でした。従来の手動測量では測量・図面作成・土量計算で計10人工、従来のドローンを用いた測量では計2人工を要していました。今回の取り組みでは、遠隔監視ドローンと自動化ソフトウェアを活用することで計0.5人工のみで済み、手動測量に比べて1/20、従来のドローン測量に比べて1/4の作業時間となり、生産性が大幅に向上しました。
この取り組みにおける役割として、西武建設が工事の受注者であり、ミライト・ワンはドローン用Wi-Fi環境の構築を行いました。Wi-Fi環境構築には長距離・広範囲をカバーするDX Wi-Fi®を用い、ドローンの飛行エリアを常時接続でカバーしました。
※1 BIM/CIM
BIM/CIMは、計画、調査、設計段階から3次元モデルを導入し、その後の施工、維持管理各段階で3次元モデルを連携・発展させることで、事業全体における関係者間の情報共有を容易にし、建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることを目的としています。
遠隔監視ドローンと自動化技術による効率化
1. 遠隔監視ドローン(ドック)について
無人地帯での目視外飛行はレベル3に該当し、従来は操縦者がモニターを見ながら操作することに加え、第三者侵入の可能性がある場所には補助者の配置が必要でした。しかし、今回の工事では工事関係者や車両の通行を調整し、飛行時間を制限、看板やフェンスを設置することで、補助者の配置に代わる対策を講じ、現場の安全を確保しながら人員の無人化を実現しました。ドローンは遠隔地から操作され、ドックから離陸~飛行~着陸を自動で行い、バッテリーの充電も自動で行います。
2. 3D点群作成の自動化について
従来、3D点群の作成は手動で行われていましたが、本システムでは、ドローンがドックに収納された時点でデータがクラウド上に自動アップロードされ、専用ソフトで3D点群を自動作成し、専用ビューワソフトにデータを自動アップロードします。これにより手作業は確認作業のみとなり、作業量が大幅に削減されました。特に標定点の位置合わせが自動処理により効率化されました。
3. 機器構成
システム上、SkydioX2™はWi-Fiと常時通信接続が必要です。ミライト・ワンは、長距離・広範囲をカバーするDX Wi-Fi®を用いて、高度70m、敷地面積500m×70mの広範囲での常時通信環境を構築しました。この高度な通信技術がSkydioX2™の運用に大きく貢献しました。
4. 生産性向上効果
測量からデータ作成・土量算出までに必要な人工を比較すると、従来の手動測量では10人工、従来のUAV測量では2人工が必要でしたが、本システムでは計0.5人工で済み、手動測量に対して1/20、従来のUAV測量に対して1/4の作業時間で生産性が大幅に向上しました。