空中権シェアリングサービス「sora:share」を運営する株式会社トルビズオンは10月26日、佐賀県多久市においてドローン配送サービスの実証実験を実施した。この実験は①山間部の旅行者や居住者が手軽に注文できるフードデリバリーサービス ②山間部の農家が農作物を直売所まで運ぶドローンデリバリー の2つをテーマとしたものである。ドローンの機体にはDJI社の産業用ドローン「DJI M300」が使用され、市内の運動広場から約3キロ離れたキャンプ場まで鍋セットなどの食料・物資を実際に配送することに成功した。
<実証実験概要>
■日時:2020年10月26日
■場所:佐賀県多久市西多久エリア
■実験内容:
-高低差のある山間部におけるドローン配送の検証
-ドローン配送の事業モデル検証
-sora:shareを活用したドローン航行に対する社会受容確保
1.(往路)キャンプ場客への食品配送(多久市名産「すっぽん鍋」の具材)
2.(復路)直売所に向けた農作物の配送
-離発着便数…計1便(往復)
-使用機体…マルチコプター型ドローン(DJI M300)
-搬送重量…1.5kg -搬送距離…約3km
実施主体 | |
株式会社トルビズオン | プロジェクトマネジメント、上空シェアリングsora:shareの提供 |
多久市まちづくり協議会かつやく隊 | 「手ぶらでドローン・すっぽん鍋」事業考案及び実施、地権者調整 |
多久市 | 協定に基づく自治体所有地の上空利用許可、その他連携 |
幡船の里 | すっぽん、農作物など搬送する食品の準備 |
協力団体 | |
九州電力株式会社 | ドローン運航 |
組合林業株式会社 | 森林上空(一部)の地権者調整 |
AgVenture Lab | JAアクセラレータープログラムを通じた株式会社トルビズオンの活動支援 |
多久市によると、当市は65歳以上の高齢者が人口の36%を占めていて近い将来、買い物弱者の増加が懸念されている。多久市まちづくり協議会 笹川俊一さんも「買い物難民の高齢者や病院まで通うのがなかなか困難な人がいる。その部分で今後サービスを展開していきたい」とコメントした。
トルビズオンは来たる2022年の有人地帯での目視外飛行(レベル4)実施に向けた航空法改正を見据えて、自治体やまちづくり協議会、JAグループ、JForestグループなど、地権者調整に欠かせない団体と連携することで、農地上空や森林上空の飛行許可を組織的に取得する仕組みを整え、ドローン航行のための「空の道」構築を目指すとしている。