現在ドローン業界で最も注目を浴びる企業と言っても過言ではない株式会社ゼンリン。
全国99.6%の地図データを保有する地図業界最大手のこの会社は、ドローン業界が今後飛躍的に成長していく上で必要不可欠な存在と言える。
名だたる企業が、将来ドローンが上空を飛び交う時代になった際の空のプラットフォームを開発しようとしているが、ゼンリンはその中心にいる引く手数多の企業だ。
今回はそんなゼンリンに前後編の全2回に渡って迫っていこうと思う。前編では、ゼンリンが関わるドローン業界のこれまでの流れを再度確認することでゼンリンの立ち位置を明確にし、後編『空の地図でドローンを支えるゼンリン【後編・インタビュー】』では、DRONE PRESS(ドローンプレス)が独占で行ったインタビューの様子をお届けしようと思う。
日進月歩で進化しているドローン業界
amazonの計画が発表されて間もない頃の世間の反応は「ドローンは物凄く未来的な物で、夢物語のような話。」という、いまいち現実味の湧かないものという温度感だったと記憶している。
しかし、そのような考えを良い意味で裏切り、ドローン業界は驚くべきスピードで進んできた。
今やただ空撮するだけの機体ではなく、測量・点検・各種調査・農薬散布など、普段生活していても目に付きづらいところからではあるが、徐々に産業利用されるまでになっている。
そして最も注目されているドローンによる配送は、バッテリーの持続時間やペイロード(最大積載量)、雨風に対する強さが満足ではないが、環境を整えた実証実験レベルでは世界各地で成功している。
今後必要になってくる空のプラットフォーム
全天候型で、バッテリーとペイロードの問題が解決されたドローンが完成したとしても、上空をドローンが飛び交う時代が訪れることはない。
それを可能にするには、ドローンの管制システム(UTM:UAV Traffic Management)が必要になってくるからだ。既存の航空管制との兼ね合いもあるため、UTMの整備は最重要事項と言える。
そして、UTMの完成に欠かせないものが、どのようなルートを飛行させれば良いのかを示す『空の地図』である。
地図の王者ゼンリン
UTMは空のプラットフォームとも言えるため、デファクトスタンダードとなるべく我先にと複数社が開発を進めている。
そして、先にも述べたように、空のプラットフォームには『空の地図』が必要になってくるため、将来のドローン業界発展の為に必要不可欠な会社がゼンリンだ。
ゼンリンと言えば、1948年創業の地図業界の最大手で、全国99.6%の地図を保有。国内外のカーナビゲーションにもデータ提供しており、国内シェアは8割。グーグルマップやヤフーロコ等の地図検索サービスにもデータを提供しており、知らないうちにゼンリンの地図を利用している程に生活に浸透している。
そして、平面地図だけではなく、3Dマップも完成している。常に地面に接地して走行する自動車とは違い、飛行ルートも高度もある意味自由なドローンの管制システムを作るとなれば、建築物の高さを示すこの3Dマップがドローンには非常に重要になってくる。
このように、圧倒的に国内の地図データを持っているため、現在ゼンリンは以下のような空のプラットフォーム関連のプロジェクトに携わっている。
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『ソラパス』 JUIDA,ブルーイノベーション(ソフトバンクC&S)
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『スマートドローンプラットフォーム』 KDDI、プロドローン
- 『ドローンハイウェイ』 東京電力
まさに引っ張りだこといった感じだが、今後更に提携を打診してくる企業は増えていくのではないだろうか。
後編『空の地図でドローンを支えるゼンリン【後編・インタビュー】』では、ゼンリンのドローン事業推進課長の田内滋氏へ独占インタビューを行い、現在携わるプロジェクトの今後の展開と、ゼンリンが見るドローン業界について、詳しく伺ってきた様子を見ていこうと思う。