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NEDO、中国のドローン事情に関するレポートを発表

国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構(以下NEDO)は「中国におけるドローンの制度整備と利用の現状」を発表した。当レポートは中国における①ドローンの政府計画・制度整備の経緯や現状、②ドローンのテスト飛行場やクラウド管制といった関連サービス、③高圧送電巡視や農業での利用といったドローン活用の状況 についてまとめたものである。

ドローン先進国へ向けた野心的な目標の数々

2015年12月に民用航空局が「軽小型無人機運航規程(試行)」で無人機に関する航空管制やパイロットなどに関する規定が発表されて以来、ドローンの計画策定や制度整備が急速に進展してきた。2017年7月には工業信息化部等が「無人運転航空機システム規格体系整備ガイダンス」を発表。ドローンの部品やシステムに関する規格だけでなく、ドローンの流通管理や応用領域(農業、電力、警備、測量、物流 など)まで含めた標準体系を2020年までに構築するという野心的な計画である。またドローンの流通に関しても積極的な姿勢をみせており、2020年までに600億元(約1兆円)、2025年までに1800億元(約3兆円)の生産高へすること、また”消費者用無人機技術で世界リードを維持””世界的影響力をもつ無人機企業を2~5社育成”ということなどを目標として掲げている。

刻々と整備される飛行・機体に関する制度

ドローンの飛行管理や機体に関する制度整備にも積極的だ。「軽小型無人機運用規定」(2015年12月)でドローンの重量別区分、飛行中の位置情報の送信といった要件が定められたところが基礎となり、その後この規定を基礎として多くの規定が制定されている。2017年5月には飛行重量250g以上の民用機について、①無人機製造事業者、②個人の無人機所有者、③法人の無人機所有者 の実名登録を義務付けるなどした。また2019年3月には大手ドローンメーカーが本社を置く深圳市にて「深圳市民用微型軽型無人機使用管理暫定弁法」が施行。微型(250g以下)と軽型(4kg以下)の無人機の飛行が認められない範囲を規定するほか、ドローンの機体が標準に適合することや改造を禁止すること、操縦者に求められる年齢要件等について規程した。深圳市は以前から無人機の独自標準の策定などを行い中央政府に採用を働きかけているとされ、今回の規定も地方政府による規定であるが、中国全体に採用される可能性がある。

周辺サービスの発展

クラウドを用いた管制サービスも次々と発表されている。U-Cloud(優雲)、Geospatial Environment Online、U-Care (優凱)、極飛クラウドなどが代表的だ。2015年の「軽小型無人機運航規程(試行)」では、関連する無人機管制を行うクラウドシステムに飛行位置などをリアルタイムに送信することとされ、2018年にU-Cloudでは実に700,000時間もの飛行通信時間を記録した。クラウドサービス以外にも操縦士の養成や、事故に関する保険の整備、テスト・練習場の設置にも積極的だ。

ドローン活用の事例

送電線の巡視・点検が一例とされている。シートなどが送電線に引っかかった際にドローンで除去するのだ。中国の2大送電網会社である国家電網と南方電網もドローンによる送電線の点検を採用している。他にも三次元レーザーレーダのスキャン、可視光撮影及び赤外線温度測定によって、ボルト・ピン・ナットなどの設備が脱落しているかどうかをドローンで確認する。鉄塔1基の巡視には、人の作業員では1~2時間かかるが、無人機では5~10分程度で済むことが実証され、省人化に多い役立っている。

中国では他にも様々なドローンの活用がなされており、現状ドローンにおいて世界を大きくリードしている存在と言えるだろう。

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