精米機関連設備の設計・施工を行う小野塚精機株式会社は12月8日、大型輸送ドローン用高効率モータを開発し、50kgの貨物を積載したドローンの飛行テストに成功したことを発表した。モータには日本製鉄製の高速回転モータ用電磁鋼板が使用されている。機体製作として有限会社五百部商事、また試験・評価として株式会社ロックガレッジら各ドローンの専門家が監修を行い開発を進められた。
同社が開発したモータには多極高速回転化する手法が採用された。高重量の貨物を運搬するドローンを実現させる為にパワーの高いモータが必要と考えられたためである。開発では複数種の電磁鋼板を実際にモータに組み込み、効率・特性を評価し、鉄損と飽和磁束密度のバランスから、日本製鉄製の電磁鋼板が採用された。また製造時にはこれを効率的に積層し、モータを完成させた。
同モータにはEV（エコラン・ソーラーカー）で培った技術が応用されており、従来の大型ドローン用モータと比べ高効率・低発熱で、夏季の高温下での運用に耐えることができる。またモータ・ESCを2重冗長にすることで、大型輸送ドローンに求められる故障時の信頼性にも配慮されている。駆動系の制御特性を大型輸送ドローン用に最適化した結果、これまで空荷時・積載時にそれぞれ必要であった制御系のパラメータ調整が不要となった。
モータ、およびドローンの仕様は以下の通り。
| モータ仕様 | |
| サイズ（外径） | Φ200mm |
| 重量 | 2kg |
| 出力 | 4kW/3600rpm |
| 最大効率 | 90% |
| ドローン仕様 | |
| サイズ | L1,600mm×W1,600mm×H700mm |
| ロータ間距離 | 1,400mm |
| ロータ直径 | 1,000mm（40インチ） |
| ペイロード | 50kg |
| 使用バッテリ | 東芝SCiB |
なお当ドローンには稼働率向上のために、長寿命で急速充電が可能な東芝SCiBが世界で初めて採用された。SCiBは一般的なリチウムイオン電池の課題であった発火の問題が解決され、極めて高い安全性を持つ。また急速充電（10分）が可能であるため、同ドローンは連続使用時に問題となる電池交換の手間が解消された。
同社は今後、大型ドローンの活用を検討している企業向けにカスタムモータの提供から駆動系・機体制御のインテグレーションに対応する。