参考記事及び写真引用元:https://dronelife.com/2022/09/13/uk-drone-delivery-network-caelus-launches-medical-distribution/
NHS(国民保健サービス)スコットランドと提携してAGSエアポートが主導するコンソーシアム”CAELUS” (Care & Equity – Healthcare Logistics UAS Scotland) は先月、イギリス初のドローンによる医療配送ネットワークを確立するために、イギリス政府が助成する戦略的政策研究機関のUKリサーチ・イノベーション (UKRI) の Future Flight Challengeプロジェクトから1010万ポンドの資金調達を完了しました。
CAELUSのメンバー、株主、政治家がグラスゴー空港に集まり、公式発表が行われました。この式典では、スコットランド政府の公衆衛生大臣Maree Todd氏による基調講演と、コンソーシアムパートナーによる多数の展示が行われました。
CAELUSは、ストラスクライド大学、NATS、NHSスコットランド、Skyportsを含む16のパートナーで構成されており、遠隔の地域を含むスコットランド全土に医薬品を届けることが可能な初の全国ドローンネットワークを提供することを目標に協力しています。
2020年1月に150万ポンドを獲得した後、CAELUSは、スコットランド中のNHSのためのドローン着陸ステーションと、全国の病院、病理学研究所、配送センター、一般開業医の診療所を橋渡しするネットワーク計画の仮想モデルを開発しました。プロジェクトの第2フェーズでは、実飛行試験を取り入れ、スコットランドでドローンを安全に大きな規模で運用するための課題に対処する予定です。
ドローンならできる「都市と農村に平等な医療の提供」
AGS空港グループの飛行場戦略責任者でCAELUSプロジェクトディレクターのFiona Smith氏は、「プロジェクトの次の段階に進むために、UKRIから1,010万ポンドの資金提供を受けると聞いたときは、とても嬉しく思いました。CAELUSプロジェクトは、スコットランドにおける医療サービスの提供方法に革命をもたらすでしょう。ドローンネットワークは、重要な医薬品をより効率的に提供することができ、検査結果の待ち時間を短縮することができます。もっとも重要なことは、都市部と遠隔地の農村部の間で平等で安心な医療を提供できるようになることです。
実飛行が可能になっただけでなく、ドローンをサポートするために必要な物理的なインフラ整備をスコットランド全土で開始することができます。これには、着陸基地のプロトタイプや、デジタルおよび通信インフラストラクチャの構築が含まれます。また、地域のコミュニティと協力し、ドローンがなぜ、どのように使用されるかを理解してもらうようにします。」
CAELUSメンバーでドローンサービスプロバイダーのSkyportsは、2020年と2021年にNHSスコットランドで行ったように、このプロジェクトの飛行実証試験を行い、この地域で現在に至るまで14,000km以上を飛行させた実績があります。
ドローンで医療サービス改善を目指す
NHSグランピアンの改革担当プログラムリーダーであるHazel Dempsey氏は、次のように述べています。
「私たちは、このハイエンドな革新的プロジェクトの主幹となることに、非常に興奮しています。私たちの目的は、NHSの観点から、都市、遠隔地、農村、離島においてドローン技術の利用をテストすることです。例えば、実験用サンプル、血液製剤、化学療法、薬の配送にドローンを使用することで私たちの物流サービスの重要な側面を改善できるかどうかをテストしたいのです。最終的には、ドローン技術によって医療問題の診断や治療が迅速に行えるかどうかを探りたいです。」
スコットランドで進む、ドローン医療サービス
またHazel Dempsey氏は、「このプロジェクトによって、医療が鉄道、フェリー、航空会社の時刻表に左右される人々のサービスを改善し、家族や愛する人がサポート可能な自宅に人々を留めておくことに役立つ可能性があります。このプロジェクトは、イギリスとNHSスコットランドを、航空業界における第三の革命のリーダーとして位置づけることを意図しています。」と述べています。
「この全国的に進歩を続けている “次の段階 “のプログラムは、スコットランド西部に焦点を当てたCAELUS 1の立ち上げの成功に基づいています。」と、イノベーション担当National Clinical Director のDavid Lowe氏は言います。
また、Skyports Drone Services のディレクターである Alex Brown 氏は、「過去4年間、私たちはスコットランド全域でプロジェクトを立ち上げ、ドローンによる介入が最も手の届きにくい地域でも、個人やコミュニティに恩恵をもたらすことを実証してきました。
COVID-19のパンデミックの期間中、私たちは何千キロも飛行してNHSに重要な病理サンプルを届け、数えきれないほど多くの患者がより早く診断や治療を受けられるよう支援しました。CAELUSプロジェクトは、ドローンサービスの実現可能性を実証し、NHSのための恒久的なドローン配送業務の開始への道を開く、こういった重要なトライアルの次のステップとなります。」と話しています。
スコットランドにおいて、大学や企業、国民保険サービスが一丸となり、ドローンを使った医療サービスの改革に着手しているプロジェクトがスコットランドでは盛んになっているようです。
ドローンによる配送が日常になれば、今後も起こりうるであろうパンデミックにも対処ができそうです。