日本財団、総合海洋政策本部、国土交通省の旗振りのもと、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていく「海と日本プロジェクト」は、最新のIT技術と水中ドローンを用いて新しい海洋VRコンテンツを世界に発信する「Virtual Ocean Project」の活動として行う「海の学び授業」の第1回目となるイベントを、2021年7月27日(火)、“海なし県”の栃木県立岡本特別支援学校おおるり分教室で、小学部の生徒1名と中学部の生徒10名を対象に行いました。
Virtual Ocean Project
「海と日本プロジェクト」が推進する、水中ドローンと最新の IT 技術を⽤いて新しい海洋 VR(仮想現実)コンテンツを世界に発信する活動です。
VRコンテンツ体験を通して、海の素晴らしさだけでなく、マイクロプラスチック問題や海の酸性化など、今海で起こっている問題について、幅広い世代へ伝えていくことを⽬的に、2019年度にスタートしています。今年度はコロナ禍の状況を受け、2020年度に引き続き、オンラインでの「海の学び授業」を日本全国の複数の院内学級で全7回(予定)ほど実施予定です。
将来必要となってくる?ドローンダイバー
今回行われた授業は「ドローンダイバーになって海のお仕事を体験しよう」。
生徒たちは、水中ドローン映像を声で操作する「ドローンダイバー」という、近い将来のダイバー業務を仮想した職業体験を行いました。
プログラムの冒頭には、水中ドローンを使って海中の調査をする架空の会社「VOP水中ドローンカンパニー」のキャプテンが登場。参加した生徒に、地球温暖化が海でも起きているという現実、マイクロプラスチックによる生態系の変化や海洋環境の汚染など海でおきている様々な問題について話した後、「今日は皆さんに、私たちの会社のお手伝いをして頂き、お仕事を通じて海のことを知って、自分たちに何ができるのか。そういったことを考えてもらえたら嬉しいです。」と説明し、授業がスタートしました。
「サメの写真を撮ろう」「沖縄の海の生き物の生態調査」という二つのミッションを依頼された生徒たちは、ドローンの360度映像を声で操作して、任意の方向を向きながら観察しました。「なんか出てきた!」と驚きながら、 水中での魚やカメ、ジンベイザメたちの様子を観察。声でドローンを操作し生物を発見すると、「あ!ショット!」と言って撮影し、表示された生き物の情報に興味津々の様子でした。
ミッションを終えた生徒たちには、チーフから改めて地球温暖化について「地球温暖化を考える時に、地球の7割を占める海の存在を無視することはできません。海は地球温暖化の進行をやわらげてくれているなかで、その吸収したエネルギーによって海水温が上がってしまう。水温が上がれば海面水位の上昇など海の環境はどんどん変化し、海水温の上昇によって海流も変化していると考えられています。このままだと食卓に並ぶ魚がガラッと変わる可能性もあるかもしれません。」と話があり、生徒たちはチーフの話に真剣に耳を傾けていました。
<授業に参加した子どもの声>
「私たちが捨てているプラスチックなどで、魚たちが減っているのでもっとごみを減らしたいなと思った。」
「地球温暖化がこれ以上進まないように電気を使いすぎたりしないようにしようと思った。」
<第1回「海の学び授業」】開催概要>
・日時:2021年7月27日(火)11:05-11:50
・場所:栃木県立岡本特別支援学校おおるり分教室
・配信方法:Zoomを使用し、授業が行われている多目的ルームとオンラインでつないでのオンライン授業
・参加者:小学生1名、中学生10名
・授業プログラム
「ドローンダイバー」という、近い未来にダイバーの仕事の一つになるであろう仕事を仮想し、水中ドローン映像を声で操作することで職業体験として行う。業務内容は水中ドローンの本来の業務を簡易体験。その中で、海の大切さ・海の問題(海洋ごみ問題・温暖化、他)を学ぶ。
1部:イントロダクション:ドローンダイバー挨拶等
2部:職業体験:ドローン業務の紹介、依頼対応
ドローンダイバーとは?
水中ドローンとは、水の中を潜水・潜航しながら撮影できる小型無人機の通称です。 陸上や船上から遠隔で操縦を行い、リアルタイムで機体の撮影映像を確認できます。
以前はROVという呼び方でしたが、2016年頃から低価格化が進み、空を飛行するドローンと同じように「水中ドローン」と呼ばれるようになりました。人間が潜るには危険な状況でも調査ができることから主に産業用に用いられ、漁業・養殖業の調査や、ダム、海に隣接する工場、洋上風力発電所、船舶など水に関連した人工構造物の点検調査など様々な分野で活用、普及が進んでいます。
今回の授業では、「ドローンダイバー」という、近い未来にダイバーの仕事の一つになるであろう仕事を仮想し、水中ドローン映像を声で操作することでダイバーの職業体験を行いました。
活躍の場を広げているVirtual Ocean Project
2019年度のイベントでは、「箱根園水族館(第1回)」「横浜・八景島シーパラダイス(第2回)」にて体験ブースを設置し、水中ドローンによるVRコンテンツ体験を提供しました。まるで水中ドローンに乗り込んで水族館の水槽の中を泳いでいるかのようなVR体験と、プラスチックゴミ問題などの解説動画を通して、海洋問題について自然と学ぶことができる機会を提供しています。
2020年度はコロナ禍の影響や身体的ハンディキャップなどにより、海に行く機会が減ったり、海に行けなかったりした子どもたちの体験格差の解消を目的とし、箱根園水族館、横浜・八景島シーパラダイスの協力のもと、水中ドローンを使い事前に撮影された大型水槽のの8K・360°映像によるVRを活用した「水中ドローンダイバー」という架空の職業体験を提供。まるで⽔中ドローンに乗り込んで⽔族館 の⽔槽の中を泳いでいるかのようなVR体験とロールプレイングを通して子どもたちに対して海の素晴らしさや海の抱える課題などを伝えることで、好奇心や興味を喚起しました。 「海と日本プロジェクト」では、今後も最先端技術を用いることで、コロナ禍の子どもや、海を体験することが難しい全ての方に海体験を提供することを目標に、さまざまな最先端の技術を用いて活動を推進していくとしています。
Virtual Ocean Project
公式サイト:https://www.virtualocean.jp/
海と日本プロジェクト
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
公式サイト:https://uminohi.jp/