カメラを本格的にやったことはないけれど、ドローンでの空撮に興味を持ち、機体購入を考えているという方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、いざ機体を購入しようと思っても、どれを購入するのがベストなのかかなり悩みます。
頭を悩ませる一つの要因として“実際にどのような画像、映像が撮影できるのかわからない。”ということが挙げられると思います。
本格的に空撮を楽しむとなると、最低でも10万円以上の高額の買い物をすることになるのはほぼ確実なので、慎重になるのは当然です。
では、その悩みの原因を解決し、自信を持って購入するにはどうしたらいいかというと、『自分でカメラの事を知る』これしかないのではないでしょうか。
そもそも空撮の為にドローンを“空飛ぶカメラ”として使おうとしているのであれば当然といえば当然ですし、購入後も必要になってくる知識なので、最低限のポイントは押さえておきましょう。
しかし、いきなりカメラのスペック表を見たり、口コミサイトを見ても専門用語ばかりで何がなんだかわからないです。だからと言って用語を一つ一つ調べるのも面倒です。
そこで、この記事ではカメラの基礎的な部分を簡単に解説していき、スペック表を最低限理解できるようにしていきたいと思います。
目次
撮像素子(画像センサー、イメージセンサー)
レンズから入ってきた光を電気信号に変換する(光を感知して画像を映し出す)部品のことで、従来のカメラのフィルムに位置します。
カメラは光を多く集めることができるものほど画質が上がります。
カメラで光を集めることに直結する部品はどこかというと、この撮像素子(画像センサー、イメージセンサー)とレンズです。
光を多く集めることができれば、高画質であることは勿論、夜景、ぼかしも綺麗に撮影できるということですので、撮像素子のサイズや質は非常に重要なポイントです。※レンズや画像処理の能力にも画質は左右されるので、撮像素子が全てではない。
サイズ
撮像素子は小さいものでiPhone等に使われる4.6×3.45mm程のサイズのものから、プロ用一眼レフカメラに使われる36.0×24.0mm程のものまであります。一般的なものではないですが商業用カメラに使われる43.8×32.8mmのものもあります。
サイズが変わることでどのようになるかは上で説明した通りです。(絵画のキャンバスをイメージすると解り易いかも知れません。面積が広いほど細かなところまで描けます。)
ではドローンの撮像素子はどれくらいのサイズのものがあるのかというと、ベストセラーのphantomシリーズの3以降には1/2.3型という6.2×4.7mmのサイズのものが搭載されています。これは、コンパクトデジタルカメラによく搭載されているサイズです。
DJIの上位機種inspireはカメラの付け替えが可能なので、選んだカメラによって変わります。
1/2.3型のものもあれば、デジタル一眼レフで使われる4/3型のマイクロフォーサーズセンサーと呼ばれる17.3×13mmのものまであります。
価格幅も大きいので、お財布と相談という感じになるかと思います。
タイプ
ドローンに限らず、カメラのスペック表を見ると必ず表記されている『CCD』や『CMOS』というアルファベット。
これを詳しく説明すると長くなるので簡単に説明すると、この2つは撮像センサーの種類のことです。以前はCCDは高級で、CMOSは粗悪品というイメージが根付いていたのですが、技術の進化でCMOSの性能が上がったことによって「CCDより安いし、性能も問題ないし、CMOSの性能が上がるとCCDの弱点が気になるようになってきたね。」ということになってきました。
今では高級デジタル一眼レフにもCMOSは搭載されていて、ドローンのカメラも確認できたものは全てCMOSが使われています。
カメラ有効画素数
搭載された撮像素子の画素全体を示す『総画素数』に対して、ノイズの影響を受けやすい部分を除いた、実際に撮影に使われる画素の数を指します。
ISO感度
カメラが光をとらえる能力を表す値です。文章で説明すると解り難いですが、上で説明したようにレンズから入ってきた光が撮像素子に当たり、それを電気信号に変えているので、例を出すと以下のようになります。
ISO感度を上げる(光をとらえる能力を上げる)こと⇒電気信号を増幅すること
ISO感度を2倍にする(光をとらえる能力を2倍にする)⇒電気信号は2倍
ISO感度を2倍にする⇒撮像素子に当たる光の量が半分で適正な露出(撮像素子に光を当てること)になる
レンズ
レンズはカメラに慣れていないとややこしいですが、inspire2のようにレンズ交換が可能なドローンも出てきているので、基本的な知識は勿論あった方がいいです。
焦点距離、画角
焦点距離とは、ピントを合わせたときのレンズから撮像素子までの距離のことをいいます。
画角とは、撮像素子に写る範囲を角度で表したものです。
画角が広い⇒写る範囲が広い
画角が狭い⇒写る範囲が狭い
焦点距離が変わるということは撮影画角が変わるということです。
焦点距離(レンズから撮像素子までの距離)が短いレンズ⇒画角が広い⇒写る範囲が広い
焦点距離が長いレンズ⇒画角が狭い⇒被写体が大きく写る
解放F値(開放絞り値)
絞りとは、光の通り具合を調節するものです。
レンズの絞りをもっとも開いた状態のことを「開放絞り」といい、そのときの値が開放絞り値(開放F値)です。
絞り値は、レンズを通って撮像素子上に写る像の明るさを表します。
開放絞り値が小さいレンズ⇒開放絞り値が大きいレンズよりも、撮像素子上に写る像を明るくできる。
撮像素子上に写る像が明るくなる(取り込む光の量が多い)⇒その分シャッタースピードを速くしても適正露出にすることができる。
シャッタースピードを速くしても適正露出にできる⇒開放絞り値が大きいレンズではブレしてしまうようなシーンでも、開放絞り値が小さいレンズではブレずに撮影することができる。
35mm換算値
35mmというのは一眼フィルムサイズのことで、コンパクトデジタルカメラ・デジタル一眼レフ・ドローン搭載のカメラ等は、このサイズを基準として画角や焦点距離を換算表記しています。
どういうことかというと、先述したようにフィルム以外のカメラは、撮像素子(画像センサー)の大きさが全て同じというわけではありません。
そのため、デジタル一眼であれば同じ焦点距離(レンズから撮像素子までの距離)でも、35mm基準では画角が違ってきますし、コンパクトデジタルカメラの場合は画角が同じでも焦点距離が短かったりしますので、35mm換算という基準が必要になってきます。
ここでは詳細な説明を行うと複雑で長くなるので避けますが、なぜこの数値があるのかを知っているだけでも、今後見聞きした情報の身につき方が変わってきます。
歪曲収差
1点から出た光がレンズを通り、同じように1点に集まるものが完璧なレンズですが、現実にはそのような完璧なレンズは存在しません。
「歪曲収差」とは、レンズの形式などによりどうしても発生する歪みのことです。
オート・フォーカス(AF)
ピントを被写体に自動的に合わせるカメラの機能のことです。
最高記録画素数
最高記録画素数
写した写真が縦横何ドットの画像データとして記録されるかを示しているものです。
露出補正
露出補正は撮影時にある点を基準に自動で調節してくれる機能です。
自然に近い写真を撮影するには、全体的に白っぽい写真を撮る時はプラスに補正し、全体的に暗めの場所での撮影ではマイナスに補正してあげると良いです。
AEB撮影
AEB撮影とは、露出補正の応用機能で、段階的に露出し自動的に明るさの異なる写真を撮影することで、あとで一番好ましい明るさの写真を選ぶことができるようにする機能です。
DNG(Digital Negative)
アドビが提唱する、RAW(JPEGのように圧縮されていない、色の三原色RGBの生データ。画像というよりは“データ”であるため、画像として処理するにはPC等で復元する必要がある。)ファイル形式の一つで、RAWファイルをDNGに変換することで、メーカーの違うカメラで撮影したRAWデータでも現像できるようになります。
動画
映像ビットレート
映像ビットレートとは、1秒間あたりの映像自体のデータ量のことです。
単位は「bps(bit par second)」で、「ビット/秒」という意味です。
つまり、1秒間の映像にどれくらいの情報がつまっているのかという単位なので、情報量の少ないAと情報量が多いBであれば当然Bの方が高画質(※あくまでも同じコーデックで圧縮されたもの同士の比較。)になります。
Stabilizer
カメラの手ブレを補正するパーツ。
その他
AFロック
AFロックとは狙ったところにピントを合わせて、そのまま維持すること。
AE ロック
こちらは狙った所に露出を合わせて、そのまま固定すること。
ホワイトバランス
被写体には太陽光や電球の光、蛍光灯の光などさまざまな種類の光が当たっています。
その被写体に当たる光の種類に応じて変わる色味を調整して、白いものを白に近い色に仕上げる機能です。
AF補助光
AF補助光は、暗い被写体のピントを合わせやすくするための光です。ON にすると、シャッターボタンを半押ししてからピントが合うまでの間、AF補助光が発光します。
フォーカスピーキング
マニュアルフォーカスした際に、液晶モニターや電子ビューファインダーで、ピントが合った部分の輪郭に色を付ける機能です。この機能によって、今現在、どこにピントがあっているのか、一目瞭然になります。
ゼブラ
露出が合っていない場合、明るい部分が真っ白になってしまいます。「ゼブラ」という機能を使うと、液晶画面やファインダーに映る画像の中で設定した輝度レベルの部分(例えば白とびする部分)を縞模様に表示することができます。
ゼブラが出ないように露出を調整すると、白とびを防ぐことができます。
最後に
今回は、カメラ初心者がドローンを始めるにあたって、必ずぶつかるであろう壁『カメラの基礎知識』を簡単に見ていきました。
勿論今回紹介した用語は基礎的なものであり、各ドローンメーカーオリジナルのモード等もあるので、覚えることはこれだけではありませんが、基礎を理解していれば、応用の知識も理解しやすいでしょう。
また、ドローンを始めると必ず地上の画も欲しくなってきます。もしかすると、空撮はスパイス程度で、地上のカメラ映像メインの作品を作りたくなったりするかもしれません。そんな時にも、カメラの基礎知識は共通なので必ず役に立ちます。
少しずつ知識を身につけ、撮影の幅を広げることで、良い作品が作れるようになるかもしれません。
画像掲載元:YouTube, Pnasonic http://av.jpn.support.panasonic.com/support/dsc/knowhow/knowhow12.html