屋外だけじゃない!屋内でのドローン活躍に向けLiberaware社と凸版印刷が資本業務提携

東電riser

「印刷テクノロジー」*を軸に多角的に事業を展開する凸版印刷株式会社と、ドローン活用した屋内点検サービスを展開する株式会社Liberaware(リベラウェア)は、屋内でのドローン活用型ソリューションの共同開発および推進を目的とし、2021年8月に資本業務提携契約を締結したことを、2021年9月1日(水)に発表しました。

*印刷テクノロジー:「印刷技術」にマーケティング・IT・クリエイティブ、さらに様々な加工技術を融合・進化させた凸版印刷独自のコアテクノロジー

ドローンビジネスを進める2社の提携で、新規事業の創出を目指す

Liberawareは、産業分野に特化した非GPS型小型ドローンの開発や、loT技術および人工知能を活用したシステム開発、映像加工・編集サービスを事業としており、屋内の施設点検や自動巡回など、屋外に比べ実装が難しいとされる屋内型ドローン分野においての技術・ノウハウを確立している国内トッププレイヤーの1社です。

凸版印刷は、以前より部材供給や災害対応など、ドローンを活用した実証実験、サービス開発を行っており、両社は今回の提携により、凸版印刷が提供する各種センサーや空間計測技術、サービスオペレーションノウハウなどと、Liberawareが持つドローンを活用した屋内点検ソリューションを融合させた新たな事業の創出を目指すとしています。

両社の提携により、屋内ドローンやデータ管理ノウハウの活用を推進

今回の提携による具体的な検討内容は、以下の2つです。

<Liberawareの屋内型ドローンを利用した、共同研究および共同開発>
Liberawareが提供するドローン「IBIS(アイビス)」は、屋外飛行用ドローンに比べ開発が難しい屋内飛行用ドローンで、狭小空間で飛行可能な小型かつ軽量な機体と制御ソフトが特徴です。
その優位性を活かし、凸版印刷がこれまで実証実験を行ってきた、屋内空間データのアーカイブやリッチ化などの設備保守・データ利活用分野を中心に共同研究・開発を行い、従来のサービスにドローンを実装し将来的にはドローンを活用した共同サービス展開を目指すとしています。

<凸版印刷のデータ管理ノウハウを、Liberawareのサービスと連携>

これまで凸版印刷がBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業・セキュリティ事業等で培ってきた高セキュリティ環境下でのデータ管理ノウハウを、Liberawareが従来提供しているサービスと連携し、屋内点検サービスでのオペレーション構築を図るとのことです。

多岐にわたる分野からのドローン需要を見込み、資本提携に合意

今回の凸版印刷とLiberawareの資本提携は、各業界の省人化・省力化需要により、点検分野をはじめ、物流分野や農業分野、防災・減災分野など、様々な分野でドローンの活用に注目が近年高まっていることを受けてのものです。
両社はドローン市場を次世代のインフラとして大きな可能性を有する市場と捉えており、ドローンの技術開発および社会実装がハード・ソフト両面において全世界で注目されていることも提携にいたった一因です。
Liberawareは、2016年の設立以来、屋内点検分野に特化したソリューションを開発しており、屋外に比べ、空間や通信等で実装が難しいとされる屋内ドローン分野において、デバイス開発およびサービス提供を行っています。
また、凸版印刷は以前より、インフラ点検やVRコンテンツ制作など、ドローンを活用したビジネスを展開しており、また取得したデータの利活用に関するノウハウも有しています。
国内産業において、部材・サービスを含め日本製のドローンサービスへの期待が高まる中、屋内点検分野でノウハウを持つLiberawareと凸版印刷が提携することで、両社はドローン分野でのさらなる技術研究・開発を加速させるとともに、2023年度までに共同で事業を立ち上げ、社会のさらなるDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進していくとしています。

航空法や天候の規制にとらわれない、ドローンの屋内活用

「空の産業革命に向けたロードマップ2021」に示された環境整備・技術開発・社会実装についての計画の多くは、屋外での利活用を前提とされており、そのためドローンの活用は屋外シーンにおけるものが注目されがちです。
ですが、もちろんドローンは屋内での活用も可能で、施設内やインフラ設備の点検、自動巡回などにおいて活躍が期待されています。
実証実験段階であるものを含めても、自動車工場の設備点検や、下水道管内や地下トンネルなど人が立ち入るに危険や過酷な環境下での点検など、国内外をはじめ屋内でドローンを活用する事例が着実に増えつつあります。
屋内でのドローン飛行には、「GPSを受信できない」「屋内を飛行させる操縦技術」「衝突事故を避ける工夫、適切なデータを得るための工夫が必須」といった、考慮しなければならない課題は複数存在します。
その反面、「航空法の規制対象とならない」「天候に左右されない」といった屋内ならではのメリットが存在します。
フライト予定が天候によって左右されることは多々あり、屋外用のドローンの中には耐候性に優れた機体も存在しますが、高価ということもあり簡単に導入できるものではありません。
またドローンを活用したビジネスを新たにスタートしたい企業にとって、航空法の規制は非常に高いハードルとして存在し、ビジネスチャンスの創出を阻んでいます。
こうした点を考えると、屋内でのドローン飛行には、非常に大きなメリットがあるといえます。
また課題に対しても、既にハードウェアやソフトウェア両方のアプローチにより、解決する技術開発が次々に完成しています。

新事業・新市場の創出を目指すベンチャー投資「TOPPAN×VENTURES」

凸版印刷は、中期的な経営課題の1つとして新事業・新市場の創出を掲げ、「TOPPAN×VENTURES」として、2016年7月から現在までに国内外50社強のベンチャー企業へ出資しています。
ベンチャー企業の先進的な技術やサービスと、凸版印刷をはじめとしたトッパングループの持つ企画力・技術力を掛け合わせることで、社会に向けた新しい価値を創造していくことを目的とし、シード・アーリーを中心に全ステージのベンチャー企業を対象に投資を行っています。
DXのさらなる加速、およびニューノーマルな社会で新事業を創出するべく、今後も積極的にベンチャー企業との連携を推進、国内を中心としながらも、アメリカ・イスラエル・インドでも展開する方針の事業です。

様々な業界からも注目、産業用小型ドローンを開発するLiberaware

Liberawareは産業用小型ドローンの開発と画像解析技術を通じて、屋内空間の調査・点検・警備の業務効率化のサポートを事業とする企業です。
屋内空間に特化した小型ドローン「IBIS」を開発し、製鉄業や電力業、建設業等における設備の点検、構造物のデータ化といった場面で活用されています。
また、建設現場の施工進捗管理、工場内の定期チェックや倉庫内の在庫管理、屋内施設巡回警備などから、自律飛行型ドローンの引合いも増えており、本年7月にはJR東日本グループとの合弁会社「CalTa株式会社」を設立、鉄道・インフラ業界のデジタルトランスフォーメーションを促進するための事業展開を図っています。
2021年9月には、凸版印刷のほか、オリックス株式会社、セントラル警備保障株式会社、みやこキャピタル株式会社、Drone Fund株式会社を引受先とした約 4.2 億円の第三者割当増資を実施。金融業、製造業、サービス業と多岐にわたる業種の企業から出資を受け、ドローン技術や画像処理技術に磨きをかけ、「IBIS」の増産およびアップデート、自律飛行型ドローンの実用化のほか、AIの開発、海外展開の足掛かり構築を進めています。

コメントを残す

*

CAPTCHA