KDDI、災害対策でドローンを携帯電話の基地局に

災害現場

KDDIは、大規模災害を想定した公開訓練を行い、「ドローン基地局」の飛行訓練を実施し、3月から全国10カ所に1台ずつ試験配備するとしています。

災害発生時に常に通信困難エリアを飛行させるわけではなく、当面はそのエリアを一時的に復旧させるために使用していく方針でいます。

ドローン基地局が可能にすること

ドローン基地局

KDDIは現在、車型や船型の移動型基地局を使い、陸と海から被災地に派遣する体制を整えています。

しかし災害発生時は、例えば山間部などで道路が通行不能となってしまい、陸からも海からも対応できない地域が出てくる可能性があります。

そのような時に、携帯電話の基地局の機能を搭載した「ドローン基地局」を使えば、ドローンの周囲約1kmを携帯電話エリアにできるため、道路や通信が復旧するまでの一時の間、その地域の通信を確保することができ、地域が陸の孤島となっても外と連絡を取り合うことができます。

また、ドローンに搭載されたカメラで上空から撮影することにより、その地域の被災状況をリアルタイムで素早く把握することができるため、救助活動に活かしていくことも可能です。

ドローン基地局の課題

「ドローン基地局」はドローンの新たな活用方法ということもあり注目されているシステムですが、まだまだ課題はあります。

一番ネックになるところはやはりバッテリーの問題です。このシステムに関わらず、現在ドローンに関わる全てのサービスにおいてバッテリーの持続時間の問題が付いて回ります

今回のドローン基地局も、飛行時間は最大で30分のため満足のいく時間は飛行できません。

しかし、ドローンは日進月歩で技術が進んでおり、最近では1時間飛行可能な機体も開発されだしているため、飛行時間はこれから伸びていくことでしょう。

また、今回は一機で行われましたが、将来的には複数のドローンを飛ばし、編隊飛行させることで更に広範囲の通信を一時的に復旧させることも可能なので、より効率的な運用が可能になります。

そしてもう一つ課題として、基地局にドローンを使うことが最適解なのかというものがあります。

というのも、上空の基地局のアイディアとしてこれまでFacebookの巨大無人飛行機型の「アクイラ」や、Googleの気球型基地局「ルーン」、ソフトバンクの気球型の基地局等があります。これらはドローンよりも高い高度から電波を発信でき、飛行時間もドローンとは比べ物にならないくらい長いです。

ただ、ドローン基地局は機動性に優れ、現場の映像をリアルタイムで撮影できるメリットがあるため、災害時などの緊急の場面ではドローンのような直ぐに飛ばせて状況把握が可能な物の方が求められるでしょう。

どの基地局のアイディアも一長一短ありますが、ドローンの飛行可能時間をもっと伸ばすことができれば、「ドローン基地局」は災害時の一時的な基地局としては十分選ばれるシステムになるのではないでしょうか。

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